Dewberry商標権侵害訴訟事件(米国最高裁判決)
米国最高裁判所は2025年2月、Dewberry EngineersとDewberry Groupの間で争われた商標権訴訟において、下級審が命じた4,300万ドル(約43億円)の賠償命令を破棄した。本件は、 米国商標法の適用範囲に関する重要な判断を含んでおり、今後の米国知的財産権訴訟にも影響を与える可能性があるので紹介する[1]。
判決の概要と背景
Dewberry Engineers(バージニア州)は、不動産事業を展開するDewberry Group(ジョージア州)が「Dewberry」の名称を使用していることが商標権を侵害するとして提訴した。両者は2007年に一度和解したが、Dewberry Groupが「Dewberry Living」などの新たなブランドを展開したことで、再度争いが起こった[2]。
下級審の判断と最高裁の結論
下級審はDewberry Engineersの主張を認め、Dewberry Groupとその関連会社に対し、利益返還として4,300万ドルの支払いを命じた。しかし、米国最高裁は「Lanham法(米国商標法)に基づく利益返還は、訴訟に明示された被告のみに適用される」とし、下級審の判断を破棄した[3]。
判決の意義
この判決は、米国商標権侵害における損害賠償の適用対象がどこまで及ぶかを明確化したものである。特に、関連会社の責任をどこまで問えるかについて実務上の重要な判断基準となる。
我が国の感覚でいえばある意味妥当な判決といえる。
(参考資料)
[1] Supreme Court overturns $43 mln award in Dewberry trademark case – Reuters
[2] Dewberry trademark fight heads to US Supreme Court – Reuters
[3] Supreme Court Opinion PDF – U.S. Supreme Court