パナソニックとOPPO、通信特許を巡る紛争の和解
2025年1月、パナソニックとOPPOは、携帯通信規格に関連する特許についてグローバルなクロスライセンス契約を締結した1。これにより、両社間で係争中であった欧州および中国での訴訟はすべて解決された。
この契約は、標準必須特許(SEP)におけるFRAND(公正・合理的・非差別的)条件に則ったものと考えられる。欧州統一特許裁判所(UPC)は、先立つ判決においてパナソニックのライセンスオファーをFRANDに適合していると判断しており3、今回の和解もその延長線上に位置づけられるためである。
契約料率などの詳細は非公開であるが、FRAND条件は必ずしもライセンス条件の「公開」や「標準化された料率」を要件とするものではない。重要なのは、ライセンス提供が差別的でなく、実施者が受け入れ可能な合理的な条件で行われているかどうかである。実際、裁判所も「SEP権者が最も低い料率を提示する義務はない」と判断しており2、個別交渉に基づくライセンスであってもFRANDに則したものといえる。
OPPO側も「合理的なロイヤルティを支持する」とコメントしており、業界標準から逸脱しない水準と考えられる。特筆すべきは、同時期にSPT,Xiaomiとも契約を結んでいる点であり3、非差別性の観点からもFRAND原則に即していると評価できると考えられる。
本件は、SEPを巡るライセンス交渉が訴訟から和解へと転じた一例であり、今後のグローバル知財戦略を考えるうえで示唆に富むものである。
(参考資料)
- PanasonicとOPPOが、グローバル特許クロスライセンス契約を締結, 2025年1月14日
https://news.panasonic.com/jp/press/jn250114-2 ↩︎ - JUVE Patent, “Oppo infringed Panasonic SEP, says local division Mannheim in first FRAND ruling”, 2024年11月
https://www.juve-patent.com/cases/oppo-infringed-panasonic-sep-says-local-division-mannheim-in-first-frand-ruling ↩︎ - Panasonic、SPT、Xiaomiが、セルラー通信規格特許のライセンス契約を締結
https://news.panasonic.com/jp/press/jn250114-4
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