生成AIにより作成された文書の取扱いに関する基本方針

はじめに

近時、特許出願等における技術説明資料として、生成AIを用いて作成された文書(以下「生成AI文書」)を受け取る事例が増加しています。生成AIは発明の着想や初期の技術検討を加速する強力なツールとなり得ますが、実情では、冗長な表現、過剰記載、技術的飛躍、特許庁が使用を認めていない記号等を含む場合も少なくありません。

当事務所は、適切な権利取得と依頼者利益の確保を目的として、生成AIのメリットを活かしつつ、専門家の手で特許実務に適合した高品質な出願書類へと昇華させるため、以下の通り取扱い方針を定めます。

1. 専門家による内容整理の必須化

生成AI文書は参考資料として受領しますが、特許庁様式および審査実務との整合性を確保するため、専門的観点からの内容整理、不要部分の削除、構成の再構築を必須の前提といたします。当事務所は、そのメリットを活かしつつ、専門家の手で特許実務に適合した高品質な出願書類へと昇華させます。

2. 依頼者利益の最大化と修正の範囲

上記整理・削除は、権利化に不利益を生じさせるものではなく、むしろ外国出願費用を含む全体コストの最適化、権利範囲の明確化、拒絶リスクの低減等、依頼者利益の最大化を目的とする措置です。 当然ながら、依頼者に対して出願前に提出書類の確認を求め、合意のうえで出願します。但し、合意後であっても、特許庁様式に合わせた記号の修正、冗長表現の削除、項目の並べ替えなど、技術的実態を変更しない軽微な修正については、出願期限や作業効率等を考慮のうえ、確認を求めず出願する場合があり得ます。

3. 追加費用の発生と事前協議

生成AI文書を前提とした場合、再構成作業が増加することがあり、その範囲に応じて追加費用が発生し得ます。作業方針および費用見積りについては、受任時又は適宜の時点で事前協議を行い、依頼者の承諾を得た上で進めます。

4. プロンプト(指示文)の取扱い

依頼者が生成AI文書作成に用いたプロンプト(指示文)の提示は任意であり、強制するものではありません。ただし、任意にご提供いただける場合、技術内容の把握が円滑化し、業務効率の向上に資するとともに、より適切な書類作成に繋がります。

5. 知的財産権侵害の注意喚起と免責事項

  • 依頼者様への注意喚起: 生成AI文書の作成においては、依頼者様側にて、機密情報のインプット、および他者の知的財産権の侵害に繋がる情報の利用について、十分にご注意いただくようお願いいたします。
  • 正確性の保証と責任: 当事務所は、生成AI文書に含まれる誤情報や技術的飛躍等に起因する不利益について、専門的観点からの修正・確認作業を尽くしますが、生成AI固有の性質に鑑み、その正確性を保証するものではないことをご承知おきください。すべての責任は、最終的に依頼者様が確認し合意された提出書類の内容に基づきます。

6. 秘密保持の徹底

当事務所は、受領した生成AI文書及びプロンプトを、通常の出願書類と同様に厳格な秘密保持義務に基づき取り扱います。特許庁への提出や権利化以外の目的で外部に利用することはありません。

本方針は、生成AI利用の拡大に伴う誤解・齟齬・紛争を未然に防止し、高品質な特許権の取得と適正な手続遂行を確保することを目的とします。当事務所は、本方針に基づき、生成AI文書の適切な取扱いを徹底し、依頼者の知的財産の保護と権利化の質向上に努めます。

なお、生成AIの使用に関する注意喚起についてはこちらを参照していただきたい。