SMED(Subject Matter Eligibility Declaration)とは何か――101条拒絶対応と米国ソフトウェア特許実務

以前の当ブログ記事でも紹介したとおり、Alice事件以降、米国ではコンピュータ関連発明やソフトウェア関連発明に対する米国特許法101条(特許適格性)拒絶が重要な実務上の問題となっている。

このような状況の中、USPTOは2025年12月、101条拒絶への応答において、Subject Matter Eligibility Declaration(SMED)と呼ばれるRule 132宣誓書を提出する実務についてガイダンスを示した。その後、2026年4月30日には、2025年12月4日付メモを置き換える形でベストプラクティス・メモも公表されている。

SMEDは、発明が技術的改善をもたらすこと、又は当業者が明細書をそのように理解することを、事実証拠として補強するための宣誓書である。

例えば、

・従来技術ではどのような問題があったのか
・クレームされた処理がどのような技術的改善をもたらすのか
・当業者が明細書をどのように理解するのか
・単なる業務手順ではなく、コンピュータ技術上の改善として理解される理由

などについて説明することが考えられる。

もっとも、USPTOも繰り返し述べているとおり、SMEDは出願当初明細書の不足を後から補う制度ではない。あくまで、既に明細書に記載されている技術的内容について、その技術的意義や当業者理解を補強するための証拠提出手段である。

したがって、抽象的なアイデアしか記載されていない明細書について、後から宣誓書だけで技術的発明に変えることは難しい。

結局のところ重要なのは、出願時の明細書及びクレームドラフティングである。

特に、コンピュータ関連発明では、

・具体的なシステム構成
・処理の流れ
・データの扱い
・技術的課題
・技術的効果
・従来技術との差異

を十分に記載しておくことが、将来の101条拒絶対応にも直結する。この点、日本を基礎出願とする場合は、出願時の明細書作成にあたり、いわゆるソフトウェアとハードウェアの協働要件を意識して記載しておくことで、米国特許出願における101条拒絶への対応においても有利に働く可能性があると考えられる。

SMEDは、そのような明細書が存在することを前提として、近時USPTOが明確化した実務上の補強手段として位置付けるのが適切であろう。

参考資料
USPTO, Subject Matter Eligibility
USPTO, Best Practices for Submission of Rule 132 Subject Matter Eligibility Declarations (SMEDs), Apr. 30, 2026
USPTO, “USPTO issues new guidance on subject matter eligibility declarations,” Dec. 4, 2025

State Street BankからAlice、そしてPERAへ

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