特許庁面接審査

特許出願の審査は書面審査が原則であり、書面主義は特許法施行規則第1条等に表れている。しかし、複雑な発明については、書面だけで審査官に十分理解してもらうことが難しい場合もあり、日本の特許実務においては面接審査が活用されている。現在は、来庁面接、ウェブ会議面接、電話面接等の手段が用意されており、案件の内容に応じた使い分けが可能である。

小職が初めて面接審査に行ったのは、1999年(前職への入社2年目の頃)だった。発明者と新入社員だった知財担当者である小職と小職の上司と、首都圏の知財部門の社内弁理士1人と、合計4人で初めて面接審査を行った。面接後、首都圏のオフィスから審査官にFAXで補正案を送ったことを覚えている。拒絶理由を覆すことは不可能に思われた非常に困難な案件だったが、無我夢中で審査官に説明した。付き添いの上司は後ろでだまって見守っていてくれた。上司が付いてきてくれたのはこれが最初で最後だったように思う。

関係者の間での事前打合せ・発明者の説明・そして何より付き添ってくれた弁理士の見事な説明が奏功し、その後のやりとりを経て、自分が担当した案件で生まれて初めて特許査定となった。このときは首尾よくうまくいったが当時は面接審査ガイドラインも整備されていなかった。面接審査を断られることや、審査官の対応に苦慮するケースもしばしばあったが、現在は比較的充実した面接審査が行われている。

面接審査当日は特許庁隣の弁理士会館等で打合せを行う。発明者に同席してもらえる場合は最初に発明の背景や発明のポイントなどを簡単に説明していただく。次に、クレーム記載の発明と引用文献記載発明との違いを丁寧に説明する。補正の用意がある場合は事前に補正案も提示して、補正後の発明が現在の拒絶理由を解消しているとの心証が得られるかどうかを確認する。審査官の心証は意見書や手続補正書に反映させるように努める。面接審査を行えば、書面だけのやりとりと比べて無駄な拒絶理由を回避し、効率よい特許を取得できることが期待される。従って、弊所では重要な案件については極力面接審査を活用することを勧めている。

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*特許法施行規則
(書面による手続等)
第一条 特許出願、請求その他の特許に関する手続(以下単に「手続」という。)は、法令に別段の定めがある場合を除き、書面でしなければならない。
 書面は、法令に別段の定めがある場合を除き、一件ごとに作成しなければならない。
 書面には、提出者の氏名又は名称、住所又は居所及び法人にあつては代表者の氏名を記載し、印を押さなければならない。

*面接審査ガイドライン(特許庁ウエブサイト)

・当事務所ブログ:特許審査における早期権利化のメリットとデメリット 2022年9月1日

特許審査における早期権利化のメリットとデメリット

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  • (2026年4月追記)本稿は2013年当時の実務を記載したものであるが、面接審査は現在も活用されているため、内容の一部修正を行った。