裁判手続のデジタル化は次の段階へ――TreeeS導入とその先

裁判所における民事訴訟手続のデジタル化は、2020年2月から開始された「ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理」の運用を皮切りとして、その後段階的に進められてきた。さらに最近、日本弁理士会から、民事訴訟手続のデジタル化に係る新たな電子システム「TreeeS(Trial e-filing e-case management e-court Systems)」の導入時期についてアナウンスがあった。それによれば、TreeeSは2027年1月から名古屋高裁本庁、名古屋地裁(支部を含む。)及び同地裁管内の各簡裁において先行導入され、全庁導入は2027年度中を目指すという。TreeeSは、単なる電子提出機能にとどまらず、事件管理やウェブ会議を含む裁判実務全体のデジタル基盤として位置付けられるものと理解される。

この動きは、単に書面提出を電子化するというにとどまらず、事件管理や裁判手続運営を含めた実務基盤全体の変化を意味する。利便性の向上が期待される一方、記録管理、保存体制、システム障害時の対応など、新たな実務上の課題も生じうる。

もっとも、知財分野に目を転じれば、特許庁審判部では、すでにオンラインでの口頭審理が実施されている。小職自身は審判廷に出頭する形での対応しか経験していないが、相手方がリモート参加する場面は過去に何度も経験しており、手続のオンライン化は既に現実の実務となっていることを実感している。

TreeeSの導入は、裁判所手続のデジタル化が次の段階に進みつつあることを示すものである。今後の運用状況を注視しつつ、実務家として冷静に備えていきたい。

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